プロトピック情報局:プロトピックてどんな薬?
プロトピックとはアステラス製薬(旧藤沢製薬)から発売されている軟膏です。その主成分はタクロリムスという成分で、臓器移植患者への免疫抑制剤としても用いられている成分です。アトピーの治療向けの外用薬として1999年の6月に世界に先駆けて日本で最初に認可されました。
アトピーはアレルギーつまり、免疫系の異常によって起こります。ステロイドは強力な免疫抑制効果によって免疫系の異常活動を弱めてアトピーを直します。しかし、ステロイドは細胞の正常な活動までも停めてしまうという副作用があります。このためステロイドを長く服用を続けると皮膚が弱くなるなどの問題がありました。
しかしプロトピックのタクロリムスという成分は正常な細胞の活動には作用せず、主に強い免疫反応を示すT細胞と呼ばれる細胞の働きだけを阻害することによって、アレルギー症状を強力に押さえ込むという作用があります。また、かゆみの原因にもなるヒスタミンの放出を抑制する作用があります。
この薬が特に優れている点は、ステロイドに比べると
- 皮膚萎縮や毛細血管膨脹が無い=皮膚が弱らない、アトピー特有の赤くぼーっとした腫れがない。
- 依存性が少なくリバウンドも少ない
- 炎症を起こしている部位だけに吸収される
と言う点です。
特に重度の患者において効果が著しいそうです。今のところ薬の利用は、首と顔の部位に限られているようですが、紅潮している顔などの炎症などに非常に良く効くそうです。
副作用はステロイドにくらべるとかなり少ないです。少なくとも、 使い続けると皮膚がぼろぼろになるといったステロイド特有の副作用はありません。
プロトピックの副作用は免疫が抑制されることによる皮膚感染症が主なものです。この皮膚感染症を繰り返す事があり特に注意が必要なようです。ただ、皮膚感染症のうち、毛嚢炎などの症状はステロイドの時でも起こる副作用です。
また、この薬の特徴として、塗布した部位に特有の刺激感が生じます。これはタクロリムスの分子の大きさが非常に大きく、ステロイドと比べると皮膚から吸収されにくいためだそうです。使い初めはこの刺激で夜も眠れない人もいるそうですが、長くて一週間程度で気にならなくなります。僕の場合確かに少し刺激があり、掻いたりしましたが2日ほどで収まりました。(そして炎症もかなり収まりました)
このプロトピックまだ新しい薬なので、長期的に服用した場合の副作用についてはまだ明らかにされていない部分があります。たとえば免疫を抑制するので、
皮膚ガンのリスクが高まる可能性が指摘されています。 ただし、治験や販売後これまでの報告からは皮膚ガンの危険性の程度の統計な立証は得られていません。
ステロイドよりも良い薬だといっても、やはり副作用はあります。仮にその副作用が日常生活に支障をきたしたり、新たな病気の引き金になるのだとすれば、アトピー患者としては悩みます。しかし、このプロトピックにはステロイドのときに最も悩まされたリバウンドといった副作用はないのです。なので、この薬をより理解して正しく使えば、その他の副作用のリスクを最小化してアトピー患者の生活の質の向上がなせるものと考えます。
このプロトピック軟膏を使ううえでの注意としては、以下のようなものがあります
先程も述べたように、特有の刺激感があります。特に傷がひどい場合には、使用を控える場合があります。
免疫抑制作用による皮膚ガンのリスクを避けるためです。
同じく免疫抑制作用により、ニキビや化膿が治らず、より悪化する可能性があります。
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